僕たちが大好きだったあの子はもういない
16.08.24
僕たちはあの日まぼろしを見ていた。
きっとそういうことなんだろう。
今、人よりたぶんちょっとだけ頑張れるのは、もしかしたら僕たちもあのまぼろしになりたい、ならねばならないといけないと思っているかもしれない。
ということで、彩度低め明度高めな青春アニメーションな感じで入ってみましたが、40超えたおっさんです。
イモムシみたいな息子もいます。
こないだ、昔の会社の部下?同僚?で某プロスポーツチームの広報君と飲みに行ったんですが、お仕事アッホみたいに大変らしいです。
「え?もうそんな年なん?」
いつまでも25歳ではないみたいです。
私は部下とも普通の友人として接してしまう人間なのですが、彼と私の共通項は格闘技大好きっ子ということです。
いや、PRIDE大好きっ子ということです。
私がデザインを生業にするモチベーション、ひとつの大きな目標は
「佐藤大輔みたいに人の心を動かしてやりたい!!」
ということなのです。
佐藤大輔。
PRIDEの試合前や大会前、大会後の映像、俗に「煽り映像」の総合プロデューサー。
彼の狂気としか思えない作品の数々に僕たちは歓喜し涙したわけです。
何度も何度もつまずく桜庭和志やミルコ・クロコップという物語に自分たちの人生を重ねあわせ、僕たちも涙したわけです。
ということで、PRIDEは暴力団との関わりを懸念されフジテレビが撤退→消滅となってしまったわけですが、その後に格闘技大会がなかったわけではありません。
PRIDEのオマージュもあり、そこでも佐藤大輔は煽りV作ってました。
でも、それは僕たちが大好きだったPRIDEではなかったです。
PRIDE的な何かでしかなかったです。
今、RIZINって大会が、当時のPRIDEのスターを集めて大会を開こうとしていますが、あんな大好きな彼女に告白して返事を待つみたいな胸の鼓動、刹那さを感じるものではありません。
僕たちが好きだったのは「PRIDEという大会」ではなく、「世界一の男を決める」という幻想だったのでしょう。
今、いくら日本の大会が世界一を決めると謳っても、UFCで日本人ほぼ全滅という現況では嘘にしかならないし、じゃ、僕たちは完全にMMAという競技化したUFCに当時のPRIDEを見れるかというと見れないわけです。
ということで、僕たちが追っかけてた大好きだったあの子は、特定された誰かという存在ではなく、あの時見ていた夢物語のことだったんでしょう。
いま僕たちは桜庭和志、ミルコ・クロコップ、五味隆典、青木真也のごとく、物語の主人公として、何度も何度もつまずいても、男の意地で立ち向かっているのです。
(以上、Numberとかでありそうな感じ風)